2010.09.09 Thursday
国策捜査
佐藤優氏に次いで鈴木宗男氏も実刑2年の有罪になりました。
このタイミングで鈴木氏に実刑の引導を渡した最高裁の判決については佐藤優氏の「国家の罠」東郷和彦氏の「北方領土交渉秘話」を読んだ者として疑問を感じざるをえない。
私は小沢氏も菅氏も支持していないが、佐藤氏が79回の眼光紙背のブログで言うように小沢氏が東郷チームの無念をはらしてくれるなら、その点についてだけは応援したい。
この裁判の流れをつかむために54回の眼光紙背から読んでください。
佐藤優の眼光紙背:第54回6月30日、最高裁判所は、筆者の上告を棄却する決定を行った。上告理由が、事実上、法律違反、事実誤認の主張にすぎず、最高裁判所が要求する憲法違反の要件を備えていないという判断だ。この判断は、間違えていると思う。条約の有権的解釈が外務省に属するか否かという重大な争点があるにもかかわらず、最高裁判所はあえてそのことを無視している。いずれにせよ、近く筆者の有罪が確定し、外務公務員(外交官)としての身分を失う。
この事件についての筆者の見解は、『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮文庫)に詳しく書いた。それに付け加えることは特にない。国策捜査、政治裁判とはこういうものだ。途中で選択肢がいくつかあるように見えても、「あがり」はすべて「地獄」になっている双六のようなものだ。
こういう結果になってしまい、国民のみなさんに対して、心の底から詫び申し上げる。筆者は国民の税金でロシア語を勉強した。それには少なく見積もっても、1500万円くらいかかっていると思う。また、外交官として高給を得て、7年8カ月もモスクワに勤務し、帰国後、主任分析官というポストを得て、インテリジェンス・チームを統括し、報償費(機密費)も使うようになった。それはすべて、北方領土問題を解決するためであった。
2002年に鈴木宗男バッシングが起きず、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の3総理が進めた交渉を続けていれば、今頃、歯舞群島、色丹島は日本に返還されていたと思う。そして、国後島、択捉島についても、どのように日本の主権を確認するかとい目処がそろそろついていたと思う。それができずに、戦線を中途離脱することを申し訳なく思い、筆者の至らなさを国民に対してお詫び申し上げる。
それとともに、鈴木宗男衆議院議員に対して、心の底からお詫び申し上げる。北方領土交渉をすすめるにあたって、外務省は政治の力を必要とした。そこで筆者が外務省幹部の指令に従って、鈴木氏を外務省に引き寄せる役割を筆者がになった。当時、筆者も外務省の本質が伏魔殿であることを知らなかった。鈴木氏が外務省の応援団にならなければ、禍を避けることができとと思う。その点で筆者は鈴木氏に対してとても申し訳なく思っている。
他方、外務省に対しては、これまで公判対策で不利になるために述べていなかった報償費(機密費)問題や支援委員会めぐる不思議な出来事についても述べたい。2002年、民主党が筆者を参考人として国会に招致したが、外務省が抵抗して実現しなかった。筆者はいつでも国会の参考人招致に応じ、筆者が知る外務省の闇について明らかにしたい。(2009年7月5日脱稿)
佐藤優の眼光紙背:第79回
9月8日午後、7日付で最高裁判所第一小法廷が鈴木宗男衆議院外務委員長(新党大地代表)の上告を棄却した。鈴木氏の弁護人は異議を申し立る意向を表明しているが、過去の例でこの種の異議が認められたことはない。近く懲役2年の実刑が確定し、鈴木氏は刑務所に収監される。
最高裁判所は最高政治裁判所でもある。それは、2002年に鈴木宗男追放キャンペーンの中心に立った竹内行夫外務事務次官(当時)が現在、最高裁判所裁判官をつとめている事実からも明白だ。所属する小法廷が異なるなどということは、本質的問題でない。司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、かつ極めて政治的動きをする人物を行政機関である外務省から受けいれている最高裁判所という組織自体が、「司法権の独立」という名目からかけ離れた組織だということを筆者は指摘しているのだ。
このタイミングで最高裁判所の司法官僚が鈴木氏の上告棄却を決定したことは、きわめて合理的だ。それには2つの理由がある。
第1の理由は、9月10日に大阪地方裁判所で行われる村木厚子元厚生労働省局長の裁刑事判で、無罪判決が予想されているからだ。そうなれば特捜検察は正義の味方であるという神話が裁判所によって覆される。当然、世論の特捜検察の取り調べに対する疑念と批判がかつてなく強まる。そうなると、「国策捜査」によって事件が作られたという鈴木氏の主張を完全に無視することができなくなる。
第2の理由は9月14日の民主党代表選挙で小沢一郎前幹事長が当選する可能性があるからだ。最高裁判所の司法官僚にとっては、これも頭痛の種だ。小沢氏は鈴木氏の政治的能力を高く評価している。そもそも鈴木氏を衆議院外務委員長に抜擢したのは小沢氏だ。小沢政権になれば鈴木氏が政府の要職に就くなど、政治的影響力が高まるのは必至だ。そうすれば排除が困難になる。
この結果にいちばん喜んでいるのは外務官僚だ。鈴木氏が収監されることにより外交機密費(報償費)の不正使用や、外交秘密文書の破棄に対する責任を追及する政治家がいなくなると外務官僚はほっとしている。しかし安心するのはまだ早い。鈴木氏は小沢氏に外務官僚に関するヤバイ情報をすべて引き継いでいるはずだからだ。
いずれにせよ、今回、最高裁判所が鈴木氏の上告を棄却したことは、普通の国民の目には見えにくいが、「誰が日本国家を支配するか」を巡って、資格試験に合格したエリート官僚と国民によって選ばれた国会議員の間で展開されている熾烈な権力闘争を反映したものだ。(2010年9月8日脱稿)
以上佐藤優氏の眼光紙背を転載いたしましたが、官僚、メディアの小沢潰しの目的の一端が分りますね。官僚も談合メディアも信じられません。
私が民主党の代表戦について何も書く気にならないのは小沢氏も菅氏も嫌いだからです。ただ佐藤優氏の無罪を信じるものとして小沢氏が鈴木宗男氏を評価していることは小沢氏の肩を持ちたい唯一のポイントです。
このタイミングで鈴木氏に実刑の引導を渡した最高裁の判決については佐藤優氏の「国家の罠」東郷和彦氏の「北方領土交渉秘話」を読んだ者として疑問を感じざるをえない。
私は小沢氏も菅氏も支持していないが、佐藤氏が79回の眼光紙背のブログで言うように小沢氏が東郷チームの無念をはらしてくれるなら、その点についてだけは応援したい。
この裁判の流れをつかむために54回の眼光紙背から読んでください。
佐藤優の眼光紙背:第54回6月30日、最高裁判所は、筆者の上告を棄却する決定を行った。上告理由が、事実上、法律違反、事実誤認の主張にすぎず、最高裁判所が要求する憲法違反の要件を備えていないという判断だ。この判断は、間違えていると思う。条約の有権的解釈が外務省に属するか否かという重大な争点があるにもかかわらず、最高裁判所はあえてそのことを無視している。いずれにせよ、近く筆者の有罪が確定し、外務公務員(外交官)としての身分を失う。
この事件についての筆者の見解は、『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮文庫)に詳しく書いた。それに付け加えることは特にない。国策捜査、政治裁判とはこういうものだ。途中で選択肢がいくつかあるように見えても、「あがり」はすべて「地獄」になっている双六のようなものだ。
こういう結果になってしまい、国民のみなさんに対して、心の底から詫び申し上げる。筆者は国民の税金でロシア語を勉強した。それには少なく見積もっても、1500万円くらいかかっていると思う。また、外交官として高給を得て、7年8カ月もモスクワに勤務し、帰国後、主任分析官というポストを得て、インテリジェンス・チームを統括し、報償費(機密費)も使うようになった。それはすべて、北方領土問題を解決するためであった。
2002年に鈴木宗男バッシングが起きず、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の3総理が進めた交渉を続けていれば、今頃、歯舞群島、色丹島は日本に返還されていたと思う。そして、国後島、択捉島についても、どのように日本の主権を確認するかとい目処がそろそろついていたと思う。それができずに、戦線を中途離脱することを申し訳なく思い、筆者の至らなさを国民に対してお詫び申し上げる。
それとともに、鈴木宗男衆議院議員に対して、心の底からお詫び申し上げる。北方領土交渉をすすめるにあたって、外務省は政治の力を必要とした。そこで筆者が外務省幹部の指令に従って、鈴木氏を外務省に引き寄せる役割を筆者がになった。当時、筆者も外務省の本質が伏魔殿であることを知らなかった。鈴木氏が外務省の応援団にならなければ、禍を避けることができとと思う。その点で筆者は鈴木氏に対してとても申し訳なく思っている。
他方、外務省に対しては、これまで公判対策で不利になるために述べていなかった報償費(機密費)問題や支援委員会めぐる不思議な出来事についても述べたい。2002年、民主党が筆者を参考人として国会に招致したが、外務省が抵抗して実現しなかった。筆者はいつでも国会の参考人招致に応じ、筆者が知る外務省の闇について明らかにしたい。(2009年7月5日脱稿)
佐藤優の眼光紙背:第79回
9月8日午後、7日付で最高裁判所第一小法廷が鈴木宗男衆議院外務委員長(新党大地代表)の上告を棄却した。鈴木氏の弁護人は異議を申し立る意向を表明しているが、過去の例でこの種の異議が認められたことはない。近く懲役2年の実刑が確定し、鈴木氏は刑務所に収監される。
最高裁判所は最高政治裁判所でもある。それは、2002年に鈴木宗男追放キャンペーンの中心に立った竹内行夫外務事務次官(当時)が現在、最高裁判所裁判官をつとめている事実からも明白だ。所属する小法廷が異なるなどということは、本質的問題でない。司法試験にも合格していないので、法曹資格ももたず、かつ極めて政治的動きをする人物を行政機関である外務省から受けいれている最高裁判所という組織自体が、「司法権の独立」という名目からかけ離れた組織だということを筆者は指摘しているのだ。
このタイミングで最高裁判所の司法官僚が鈴木氏の上告棄却を決定したことは、きわめて合理的だ。それには2つの理由がある。
第1の理由は、9月10日に大阪地方裁判所で行われる村木厚子元厚生労働省局長の裁刑事判で、無罪判決が予想されているからだ。そうなれば特捜検察は正義の味方であるという神話が裁判所によって覆される。当然、世論の特捜検察の取り調べに対する疑念と批判がかつてなく強まる。そうなると、「国策捜査」によって事件が作られたという鈴木氏の主張を完全に無視することができなくなる。
第2の理由は9月14日の民主党代表選挙で小沢一郎前幹事長が当選する可能性があるからだ。最高裁判所の司法官僚にとっては、これも頭痛の種だ。小沢氏は鈴木氏の政治的能力を高く評価している。そもそも鈴木氏を衆議院外務委員長に抜擢したのは小沢氏だ。小沢政権になれば鈴木氏が政府の要職に就くなど、政治的影響力が高まるのは必至だ。そうすれば排除が困難になる。
この結果にいちばん喜んでいるのは外務官僚だ。鈴木氏が収監されることにより外交機密費(報償費)の不正使用や、外交秘密文書の破棄に対する責任を追及する政治家がいなくなると外務官僚はほっとしている。しかし安心するのはまだ早い。鈴木氏は小沢氏に外務官僚に関するヤバイ情報をすべて引き継いでいるはずだからだ。
いずれにせよ、今回、最高裁判所が鈴木氏の上告を棄却したことは、普通の国民の目には見えにくいが、「誰が日本国家を支配するか」を巡って、資格試験に合格したエリート官僚と国民によって選ばれた国会議員の間で展開されている熾烈な権力闘争を反映したものだ。(2010年9月8日脱稿)
以上佐藤優氏の眼光紙背を転載いたしましたが、官僚、メディアの小沢潰しの目的の一端が分りますね。官僚も談合メディアも信じられません。
私が民主党の代表戦について何も書く気にならないのは小沢氏も菅氏も嫌いだからです。ただ佐藤優氏の無罪を信じるものとして小沢氏が鈴木宗男氏を評価していることは小沢氏の肩を持ちたい唯一のポイントです。